ヒューマノイドの動作学習にも使われるモーションキャプチャとは?仕組みや種類を詳しく解説します!

人間のような動きが可能なヒューマノイドは、人手不足や省人化への新たな解決策として期待されています。しかし、実際に人の動きのようにヒューマノイドを動作させるためには、質のいいデータを学習させる必要があります。
そこで今注目されているのが、人の動きをデータとして記録することができ、実際にヒューマノイドの学習にも使われているモーションキャプチャの技術です。この記事では、モーションキャプチャの仕組みや種類について詳しく解説します。
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ヒューマノイドの学習にも使われるモーションキャプチャとは?
人間のような動きをするヒューマノイドロボットでは、人間の動作を参考にして動作を生成したり、実際のロボットへ適用する技術が注目されています。その際に重要になるのが質のいいデータです。動作させたい人間の各関節や軸の動きをきちんとデータ化しないと、ヒューマノイドは思うように動いてくれません。
そこで今注目されているのがモーションキャプチャです。
モーションキャプチャとは、人間の身体の動きや姿勢をセンサーやカメラなどで取得し、デジタルデータとして記録する技術です。ただし、モーションキャプチャで人間の動きを取得すれば、そのままヒューマノイドが同じ動きをできるわけではありません。
人間とロボットでは、関節の数や可動範囲、身体の大きさ、重量、重心などが異なるためです。そこで、取得したデータをロボットの身体構造に合わせて変換する「リターゲティング」などの処理が必要になります。


モーションキャプチャはヒューマノイドの学習にどう使われる?
基本的な流れは、次のようになります。
人間が動く
↓
モーションキャプチャで動作を取得
↓
モーションデータを処理
↓
人間とロボットの身体構造に合わせて変換
↓
ロボット用の動作データを生成
↓
模倣学習や動作生成などに利用
↓
制御系を通じて実機へ適用
ここで重要なのは、モーションキャプチャとAIによる学習は同じものではないという点です。
モーションキャプチャは、主に「人間がどのように動いたか」を取得する技術です。一方、模倣学習や強化学習は、そのデータなどを利用してロボットの動作を生成・改善するための技術です。
実際の研究でも、人間のモーションキャプチャデータをヒューマノイド向けにリターゲティングし、その動作を模倣するための制御を学習させる手法が研究されています。
モーションキャプチャにはどのような方式がある?
代表的な方式として、慣性式と光学式があります。
| 方式 | 主な方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 慣性式 | IMUセンサー | カメラやマーカーを使わず、比較的場所を選ばず計測できる |
| 光学式 | カメラ・マーカーなど | 高精度な動作計測に利用されるが、撮影環境の準備が必要 |
慣性式モーションキャプチャ
慣性式では、身体に取り付けた**IMU(慣性計測装置)**を利用します。
IMUには、加速度や角速度などを計測するセンサーが含まれており、それらの情報から身体各部の姿勢や動きを推定します。カメラを使わないため、撮影スタジオのような専用空間を用意しなくても計測しやすいことが特徴です。
ヒューマノイドの動作データを取得する場合、実際の作業環境に近い場所で人間の動きを収集しやすいことは大きなメリットになります。
光学式モーションキャプチャ
光学式では、複数のカメラを利用して身体の動きを取得します。マーカーを身体に取り付けて計測する方式などが代表的で、研究施設やモーションキャプチャスタジオなどで利用されています。
一方で、カメラの配置や計測空間などの環境を整える必要があります。そのため、どちらが優れているかではなく、必要な精度、計測場所、対象となる動作などに応じて方式を選択することが重要です。
e-skin MEVAとは?慣性式モーションキャプチャの具体例
株式会社Xenomaのe-skin MEVAは、ウェアラブル型の慣性式モーションキャプチャシステムです。
衣服にIMUセンサーを搭載して人間の動きを計測する仕組みで、カメラやスタジオを必要とせず、着用後約30秒で計測を開始できることが特徴です。


IMUセンサーで人間の動きを取得
e-skin MEVAは下半身版に7個、全身版にはヘッドバンド、シャツ、パンツに合計18個のIMUセンサが搭載されており、手足を捻る内外旋の動きを高感度で検出できます。
また、取得したデータから、身体各部の位置・姿勢や関節角度などを扱うことができ、データの後処理が不要なため計測にかかるコストや時間を大幅に削減することができます。
計測したデータはCSV形式の生データやセグメントの位置・姿勢、関節データなどに加え、BVH形式でのデータ出力にも対応しています。
ヒューマノイドの動作データにも活用できる
例えば、人間が「物を持ち上げる」「しゃがむ」「腕を伸ばす」といった動作を行い、その動きをモーションキャプチャで取得します。そのデータをそのままロボットへ入力するのではなく、ロボットの関節構造や可動範囲に合わせて変換します。
このような処理によって、人間の動きをヒューマノイドの動作生成や模倣学習に利用するためのデータとして扱うことが可能です。
人間の動きをそのままヒューマノイドへ移せない理由
人間とヒューマノイドは、見た目が似ていても身体構造は完全には一致しません。例えば、腕の長さや脚の長さ、関節の可動範囲、関節数、自由度などが異なる場合があります。そのため、人間の「肘を90度曲げる」という動作データをロボットに渡しても、同じ姿勢を取れるとは限りません。
そこで利用されるのがモーションリターゲティングです。
リターゲティングでは、人間側の動きをロボット側の関節構造へ対応付けます。さらに、ヒューマノイドの場合は「人間と同じ姿勢になること」だけでなく、足裏の接地や重心、関節可動範囲などを考慮する必要があります。
つまり、
人間の動作データ
→ データ処理
→ リターゲティング
→ ロボットが実行可能な動作へ変換
→ 動作生成・学習
→ ロボット制御
という工程が必要になります。
近年の研究では、単純に人間の関節角度を対応付けるだけではなく、ロボットの形状や物理的な制約、接地状態などまで考慮して、人間の動きをロボットが実行可能な軌道へ変換する研究も進んでいます。


モーションキャプチャは「人間の動きをロボットへ教える入口」
ヒューマノイドにとってモーションキャプチャは、人間の動作をデータとして取得するための重要な手段の一つです。ヒューマノイドを現場で活用する場合、人間が実際に行っている作業動作をデータとして収集できれば、将来的な動作生成や模倣学習などに活用できる可能性があります。
一方で、モーションキャプチャだけでロボットが作業を習得できるわけではありません。
取得したデータをロボットの身体構造に合わせて変換し、必要に応じてシミュレーションや機械学習を行い、最後に実機の制御系へ適切に接続する必要があります。
今後ヒューマノイドが製造現場へ進出するにつれて、「人間の作業をどのようにデータ化し、ロボットが実行可能な動作へ変換するか」は重要な技術テーマになるでしょう。
まとめ
モーションキャプチャは、人間の身体の動きをデータとして取得する技術です。
ヒューマノイドの動作学習では、取得したデータをそのままロボットへ入力するのではなく、データ処理やリターゲティングによってロボットの身体構造に合わせる必要があります。
また、モーションキャプチャはAIや機械学習そのものではありません。人間の動作データを取得する技術と、そのデータを利用して動作を生成・学習する技術を分けて考えることが重要です。
e-skin MEVAのような慣性式モーションキャプチャは、カメラを使わずに人間の動作を取得できるため、今後のヒューマノイド開発や動作データ収集においても活用が期待される技術の一つです。
ヒューマノイドの動作取得やモーションキャプチャの活用方法、製造現場への導入について検討されている方は、実際のロボットや用途に合わせた活用方法をご相談ください。
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当社は今後注目される「ヒューマノイド」について調査するため、実際に中国まで見学に行きました。
>>【現地レポート】ヒューマノイドの最前線を追え!〜深圳UBTECH社ショールーム訪問記〜
ROBO PRIDEでは、今後もヒューマノイドの進化を追いかけ、現場のリアルな情報をお届けしてまいります。ヒューマノイドについて興味を持たれましたら、お気軽にお問い合わせください!
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